特集1

2025.02

糖尿病と脂質異常症

脂質異常症とは?

 

われわれの体を流れている血液に「あぶら」が含まれているって、知っていましたか? 広辞苑によればあぶらとは、水にまじらない可燃性の物質で、常温で液体のものを「油」、固体のものを「脂」とするそうです。

 

血液の中のあぶらには、大きく分けて「コレステロール」と「中性脂肪」があります。コレステロールは体の一つ一つの細胞を形作るのに必要なだけではなく、ステロイドホルモンや消化吸収に必要な胆汁酸の原料にもなります。中性脂肪は、体を動かすためのエネルギー源である脂肪酸を含んでおり、体全体にエネルギーを供給するために必要です。このように、血液の中のあぶらは、われわれが生きていくために不可欠なものです。

 

しかし、水にまじらないはずのあぶらが、なぜ血液の中を移動でき、どのようにして体の隅々にある細胞一つ一つへ、コレステロールや中性脂肪を運んでいるのでしょうか? その答えは、コレステロールや中性脂肪は、血液の中では水になじみやすい性質を持つリン脂質や、たんぱく質の一種であるアポたんぱくに包まれて存在しているからです(図1)。このような球形の塊を「リポたんぱく」

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