特集1

2025.03

がん治療中の血糖マネジメント

はじめに

 

がんと糖尿病は、単に高齢化による発症増加だけではなく、生活習慣の変化により発症頻度が増していることが明らかになっています。また、両者には加齢以外にも乱れた食生活、運動不足、肥満、過度な飲酒や喫煙などが共通因子であることが知られるようになりました(1)。また、糖尿病のある人の死因は、糖尿病併存症である動脈硬化症などを超えて、がんが第1位となっています(2)

 

読者の皆さんにとっても他人事ではありませんし、あるいは現在がんに罹患(りかん)し、治療中の人もいることと思います。

 

一方で残念なことに、がん治療の現場に慣れた糖尿病専門医は少なく、さらには糖尿病専門医自体が不在の医療機関も多いため、糖尿病のある人ががんに罹患した場合、糖尿病のない人と比べて十分な治療を受けられず、がんの治療成績でもデメリットを被ることになります。

 

今回は、がん治療時の薬物療法の考

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