特集2

2025.03

高齢期の病気や薬による自動車運転への影響

はじめに

 

わが国の運転免許保有者数は、2018年に約8231万人とピークを迎え、以後、少子高齢化の影響により23年には約8186万人に減少しています。しかし、運転免許保有者数の減少の一方で、75歳以上の運転免許所有者数は年々増加しており、図1のように19年から23年の5年間で約582万人から約728万人(全保有者の8.9%)に増加しています。特に団塊世代の高齢化に伴い、高齢の運転者の増加が顕著となっています(1)

 

本稿では、特に高齢期における病気や薬による自動車運転への影響(リスク)について解説します。

 

 

加齢と自動車運転

 

自動車運転に当たり、運転者は、視野に入る物体を認知するなどの視覚機能(目で見る能力)や、それに基づいてどちらに動くか判断する能力、さらに、その判断に従ってペダルやハンドルなどによって車を操作する能力が要求されますが、これらはいずれも加齢により低下する傾向にあります。

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