連載

2024.09

【第1回】海を撮りながら思うこと

始まりの景色

「さかえ」をご覧の皆さま、初めまして。太田晃司と申します。僕は生後8カ月で1型糖尿病を発症して以来、ずっと1型糖尿病と共に人生を歩んできました。今では相棒とも言える存在です。ですが、共に生きたこれまでの道のりは、きれいごとばかりでは済まされないものでした。

 

僕は1型糖尿病によって、プロボクサーになるという夢が打ち砕かれました。当時は高校生で、まだ血糖値の管理もうまくできず、命のやり取りをするリングへ上がることを認めてもらえませんでした。そこから、もう一度ボクシングへ挑戦するために目指したリングサイドカメラマンを通して、今の写真という道を見つけました。今ではスポーツをはじめとして、さまざまな撮影を行っています。

 

ライフワークとしては、風景写真を撮り続けています。考え事をするときに足が向くのが海であり、初めてカメラを手にした時に撮影したのも海でした。僕の原風景には海があります。幼少期に入院していた病室から見える、きれいな空と夕日にこころを惹(ひ)かれ、落ちる夕日を追いかけて初めて自分の足でたどり着いた青と茜色の世界に感動したのが始まりです。そんな原風景を胸に、感情を込めてシャッターを切った写真たちは、当時の自分にかえれる大切な作品となっています。

 

今月号から「海を撮りながら思うこと」をテーマに、僕の撮影した風

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