連載

2024.11

【第4回】いつまでも健口生活

口腔健康管理について

現在の超高齢社会において、保健医療の方向は治療から予防へと変化しています。一生のうちで、健康で自立して暮らすことのできる健康寿命を延ばすためには、予防と健康づくりの推進が重要とされるようになりました。2015年には、厚生労働省が提言した「保健医療2035」で、2035年までにパラダイムシフト※すべき五つの項目の一つとして「キュア中心」から「ケア中心」の時代へと転換することが挙げられています。具体的には、疾病の治癒と生命維持を主な目的とする「キュア中心」から、慢性疾患や一定の支障を抱えても、生活の質を維持・向上させ、身体的のみならず精神的・社会的な意味も含めた健康を保つことを目指す、としています。

 

歯科領域では、1928年から日本歯科医師会が6月4日を「虫歯予防デー」として、むし歯予防の啓発を行っていました。子どもだけではなく、成人のむし歯予防も目的としていましたが、特に、学校における子どもの歯を守る役割は大きく、歯科健診、学校表彰などを通じて、子どものむし歯の減少につながりました。加えて、2015年に日本歯科医学会から口腔(こうくう)健康管理という新たな見識が提言されました。口腔健康管理とは、お口の健康を保つことで健康寿命を延ばすことを目的としたもので、口腔ケア、口腔

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