連載

2024.11

【第11回】バードウオッチングだより

イスカの嘴の食い違い

今回は、ユニークなくちばしで知られるイスカをご紹介します。大きいくちばしの上下はぴったりとは合わず、先の方は左右に分かれています。さらに下くちばしの先は上に、上くちばしの先は下を向いてかぎ状になっています。「イスカの嘴(はし)の食い違い」(物事が食い違ってうまくいかない様)と古くから言われている由縁は、このくちばしにあるのです。

 

くちばしを上下に少し開いてマツボックリの間に入れ、くちばしを閉じると先が曲がって食い違うためにマツボックリの笠の間を押し広げ、中の種子を容易に取り出すことができます。くちばしは生まれたときには曲がっておらず、大人になるにつれて曲がっていくようです。くちばしの食い違う向きは個体によってさまざまです。

 

雄は暗赤色の羽(写真上)で、雌は黄緑色がかった灰色の羽(写真下)をしています。日本では主に冬に見ることができ、針葉樹林を好むこの鳥は、松林の緑に赤や黄の彩りを添えてくれます。ちなみに西洋では、イスカがキリストの十字架の釘を引き抜こうとしてこのようなくちばしになったと言われており、義人の象徴とされているようです。

 

 

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