連載

2024.12

【第4回】海を撮りながら思うこと

頑張れと言われた日

「頑張らなくていい」「無理するな」「おとなしくしていて」「休んでおきなさい」。そんな言葉をずっと受け続けて生きてきました。少なくとも僕はそうでした。血糖管理は常にわるく、かぜを引けばみるみる悪化して入院。そんな人生です。僕に「頑張れ」と言うと哀れに感じるのだと、今になって思います。僕は「生きてさえいれば、それでいい」と言われながら育ちました。恐らく0歳の時からです。

 

そんな自分がプロボクサーを目指して、危険を伴う場所に生きる楽しさを見つけたのは、偶然だったのでしょうか? 自分の尊厳に、誇りに懸けるつもりで、必死に練習を積みました。何もできない弱者から、何かをつかむために強くなろうとしていました。

 

今でも忘れられない思い出があります。チャンピオン経験者でもあるプロボクサーの方から、ジムでミット打ちをしてもらっている最中のこと。

 

「おい。お前はこれまで頑張れって言われることがなかったろ。だからあえて言うぞ。頑張って打ち込んでこい」

 

その方は、僕が1型糖尿病と知りプロボクサーの夢を諦めた後にも、変わらずミットを持ってくださった師匠でした。その言葉を

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