連載

2024.12

【第4回】「さかえ」表紙とともに

雪色(せっしょく)(2011年12月号)

わたしが「さかえ」の表紙を描く上で、とても大切にしているのが「季節感」と「色」です。今回取り上げる2011年の表紙のテーマは「日本の伝統色」でした。1月の紅絹色(もみいろ)、3月の呉須色(ごすいろ)、8月の団十郎茶(だんじゅうろうちゃ)に11月の木賊色(とくさいろ)。もう名前を聞いただけで、わくわくしてきます。この年は毎月、季節を感じさせる植物の背景に、日本の伝統文様を散らした千代紙風に色をあしらってみました。12月は雪を被った椿と、少し赤みのある柔らかな灰色に雪華文様(せっかもんよう)。うつむいた赤い椿にしんしんと積もる雪景色を描きました。これもプリントゴッコ®による作品です。

 

わたしの両親は洋画家でしたので、生まれた時から「色」は身近にありました。常に美しい色を使いたいなと思っています。絵の具の色をそのまま使うことは滅多になくて、色を混ぜています。プリントゴッコ®で印刷する場合、マスター(原版となるフィルム)に混ぜ途中のムラがある状態でインクをのせると、そのムラがそのまま印刷されます(

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