漂うクラゲに自分が重なりました。

太田 晃司

おおた こうじ

生後8カ月で１型糖尿病を発症。 写真家として活躍中。

この記事の内容

皆さまは「強くなりたいなぁ」なんて思ったことはありますでしょうか？

僕はずっと漠然とした強さに憧れてきました。恐らく幼少期にはまり込んだヒーローアニメや、中学生の時にはやっていた少年漫画なんかが原因だろうなと、今になって冷静に分析しています。

冬の寒さに負けてかぜをこじらせ入院し、夏の暑さにも負けて血糖管理をしくじっていた僕は、主人公が自分と正反対に活躍を続ける作品にひかれていました。敵を前にしてかっこよくポーズを決めながら見えを切る姿に、自分を当てはめようとしていたのですが、どうもうまく想像できないのです。

それもそのはずで、ヒーローは完全無欠で１型糖尿病なんかじゃありませんでした。大見えを切る瞬間に「あれ？　ちょっと今、低血糖かもしれない」なんて思うことはないでしょう。鬼気迫るシーンで、低血糖の確認のためにいったん血糖値を測ろうと器具を広げることもないはずです。不良漫画でも、周りに体調を心配されつつ補食を探す主人公なんて見たことありません。

僕は幼稚園の頃から入院をしすぎて５教科の勉強が苦手になり、良い生徒にはなれませんでした。かといって

記事の閲覧は日本糖尿病協会会員限定です。

ログイン

月刊さかえを読むには