連載

2025.02

【第6回】カフェから見える風景

「わかる、わかるよ!」

カフェの開店当初、看護師として新型コロナウイルス感染症の在宅療養者に向けた電話相談の仕事も並行して行っていました。その時のことです。わたしが1型糖尿病であることは、同僚の看護師たちには周知のことでした。ある時、血糖値を確認しているのを見た向かいのデスクの同僚が「いくつ?」と聞いてきたので、何の心構えもせず「○○だよ」と答えました(数値はわたしの目標範囲内ですが、あえて控えます)。するとその同僚は明らかに引きつった表情を浮かべ「いつもそんなに高い値をキープしているの?」と言ったのです。正直、わたしにとっては良好といえる数値で、「どんなもんだい!」くらいのつもりだったのです。

 

そこからです。わたしは同僚の表情を見て慌てて、「インスリンが枯渇している体にとっては、血糖値を下げることだけが安全なのではなく、管理の仕方が特殊である」ことを説明しました。しかしその説明は「そんな軽蔑したような目で見ないでくれ」という焦りで早口になり、数値に偏った話はとても医学的観点からは遠いものでした。自分の保身で精いっぱいになったのです。

 

この出来事は思いの外、わたしのこころに深く突き刺さりました。掛けられた言葉はもちろんですが、むしろ自分がこれほどにも自分の病気を受け入れら

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