連載

2025.02

【第1回】いつでも健口生活

口腔と全身とのつながり

近年、「口の健康が全身の健康につながる」というスローガンのもと、口の健康の重要性が大きく取り沙汰されています。口を健康にすることによって糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病、認知症を予防し、これが健康寿命を延伸させるといわれています。

 

なぜ口の健康が全身の健康につながるのでしょうか。これには二つの要因があります。まず一つ目は噛(か)む、飲み込むという食べるための口の機能低下です。もう一つは歯周病など口の細菌による影響で生じる感染症です。

 

一つ目の食に関わる口の機能低下の原因で最も多いのが、残存歯数の減少です。歯が抜けても入れ歯などで補うとさほど問題はないのですが、抜けたままにしておくと硬いものや肉類、野菜が食べにくくなります。そうすると自然とこれらを避けて軟らかいものばかり食べるようになります。これを長期に続けると摂取栄養量が減りますし、摂取栄養の偏り、特にたんぱく質の摂取不足を来すようになります。その結果、低栄養や筋肉量減少のため容易に転倒して、要介護状態を招くようになります。

 

また、軟らかいものばかり食べていると噛む刺激が脳に伝わりにくくなり、認知症を引き起こすといわれています。「食べ

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