連載

2025.03

【第7回】海を撮りながら思うこと

バニシング・ポイントへ

中学3年生になった思春期の真っただ中。当時の僕は焦っていました。見渡せば、勉強に励む友人たちの姿。そこに、小・中学校で虫食いの穴のように入院をし、そのツケを払わずにヌクヌクとたたずむ自分がいました。

 

そんな中、なぜか余裕のある親友が1人いました。進路の話をしていると、「芸術学科のある高校を志望している。そこの入試は技術と発想が一番問われる」という言葉が親友から出てきて、それに衝撃を受けた僕は「なら俺も挑戦してみる」と、進路を芸術学科のある高校に定めました。周りの大人たちは青天のへきれきだったでしょう。なんせ入試に必要なデッサンなんて一度もしたことがなければ、美術の成績は良くても3。この決断を家族が受け入れてくれたことが、今の自分を決定づけました。人生の分岐点です。

 

親友と絵画教室に通い、初めてこころから勉強をしたいと思いました。高校受験に合格し、初めて努力を認めてもらえたと思いました。プロボクサーを目指した僕がA面だとすると、こちらは僕のB面です。

 

A面とB面は平行していて、どちらも乱雑な道でしたが、すべてはつながっていました。幼少期からずっと血糖管理の乱れで幾度となく入院をしてきました。生死に

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