連載

2025.05

【第9回】海を撮りながら思うこと

病気の自分というヒモを飼う

〝相棒〟と呼んでいる1型糖尿病は、生後8カ月で発症しました。生まれてすぐさま、世間とは違う道を歩むことになりました。幼少期は1型糖尿病が全てで、いろいろな制約や誤解を経験してきました。知らないが故の偏見なんて当たり前でした。

 

病弱な自分を憎たらしく思うようになって、初めて自我が生まれました。「1型糖尿病のお前がいるから、人生がうまくいかないんだよ」と。病気ではない(と思い込む)自分が強く前に出るようになりました。でも、そこには周囲への配慮や信頼はありませんでした。そして、一番かなえたかった夢を追う最中に、1型糖尿病の自分に足を引っ張られました。1型糖尿病の自分を消し去るための道は、1型糖尿病によって打ち砕かれたのです。笑えます。でもさすがに笑い事ではないので、このままではまずいと、必死に分かり合おうと対話をしました。

 

結果、家族の思いや、応援していただいている方々の思い、何よりも「生きてほしい」と願ってくれた周囲の思いに気付くことができました。「死んでもいいから強く」と生きていた日々に、光が差しました。その思いに応えられる人生を送りたい。人として大切なものに気付かせてくれたのが、1型糖尿病の自分でした。人生経験を積んでいたのは、1型糖尿病の自分だっ

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