連載

2025.05

【第4回】いつまでも健口生活

病院での口腔機能の管理

わたしは、十数年前より総合病院の歯科に勤務しています。今回はその経験を基に、病院での口腔(こうくう)機能の管理について解説します。

 

口腔衛生が大切

 

病院における口腔ケアは、う蝕(うしょく、むし歯)や歯周病の治療もさることながら、口腔細菌による感染症(歯性感染症)予防や咀嚼(そしゃく)、嚥下(えんげ)といった口腔機能に対する管理が重要です。全身の疾病の治療と並行して口腔の衛生状態を良好に保つことで、口腔機能が改善すると経口摂取が可能になり、栄養状態に加えて運動機能も改善していきます。これは、誤嚥(ごえん)性肺炎の治療や予防、周術期の口腔機能管理、摂食嚥下障害を伴う疾病の治療にも応用され、疾病治療の基本として定着しつつあります。

 

わたしが勤務する病院では、口腔ケアを看護の優先順位の上位に位置付けており、口腔の清潔が看護の基本とされています。これは極めて重要なことです。というのは、口腔ケア、特に口腔清掃の担い手として最も活躍するのが看護師だからです。口腔ケアは、歯科衛生士、言語聴覚士(ST)、看護師が行いますが、歯科衛生士は、特定の患者さんに1日1回程度しかケ

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