インスリン注射が必要な方が過ごしやすいカフェ「IDDM Caffe」のオーナーが、日々感じたことをつづります。

遠山 朋美

とおやま ともみ

インスリン注射が必要な方が過ごしやすいカフェ「IDDM Caffe」のオーナー。 看護師として働いていた2019年に１型糖尿病を発症。2021年に起業し、兵庫県・神戸市にカフェをオープン。

この記事の内容

今回は低血糖を体験した話をしてみようと思います。医学的なことは医師にお任せするとして、わたしは当店でお客さまから聞いたリアルをお伝えできたらなと思います。

ある日、お子さんに1型糖尿病のある親子が来店されて、お母さんが「低血糖ってどんな感じがするの？」という言葉をお子さんに掛けました。その子は「ん…、力が抜けるような感じで、足元からぞわぞわと何かが這い上がってくるような、呪われた感じ」と答えました。すると、そこにいたお客さま全員が「あ！　分かる！　そうそう」と共感しました。わたしは笑って、「ちょっと待って！　この中で呪われた経験がある人、いるの？」と聞いたのですが、もちろんそんな方はいませんでした。でも、誰も体験したことのない“呪われた感じ”が共感できるなんて、「これはどんな現象???」としばらく大笑いしたのを覚えています。

もう一つ、すごいなと思うのは、当人よりも家族が先に低血糖に気付くことです。これだけ聞くと「当人は低血糖で訳が分かんなくなっているから当然」と思われるかもしれませんが、レベルが違います。血糖値まで言い当てるのです。誤差10mg/dL以内といったところでしょうか。そのような能力をお持ちの方が、ご夫婦２組、カップル１組、親子１組いら

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