連載

2025.06

【第3回】知っていますか?新しいお薬ができるまで

iPS細胞技術の創薬研究への応用

本連載の第2回は、薬の種をみつける基礎研究のお話でした。第3回は、種の候補がみつかった後、薬にする過程、レギュラトリーサイエンスと言いますが、その過程での「非臨床試験」についてお話しします。種の候補がヒトに投与される前に、非臨床試験と呼ばれる動物での評価をします。

 

非臨床試験では、主に、動物を用いた安全性と有効性を詳細に調べるための試験と、それらに基づいて改善を重ねて、最も薬効が出やすく安全な形に整える「最適化」が行われます。安全性試験では、種の候補の毒性を調べます。有効性試験では、薬理試験と薬物動態試験の二つがあります。薬理試験では、種の候補の効き目を調べ、薬物動態試験では、体内での吸収・分布・代謝・排せつを調べます。「最適化」の過程では、医薬品の候補となるために磨きがかけられていきます。しかしながら、この過程で候補となることが断念される物質も多いのです(1)

 

ところで、ノーベル賞を獲得した人工多能性幹細胞(iPS細胞)は、ご存じでしょうか?

 

iPS細胞は、心臓や肝臓などの臓器の細胞へ分化(細胞が

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