連載

2025.08

【第2回】診療看護師が支える糖尿病管理の道しるべ

外来診察室での出来事

何気ない一言の奥に

 

Aさんは、診察室で「最近は食欲がないのよね…」とボソっとつぶやきました。自宅での様子をお聞きすると、最近、Aさんは腰椎を圧迫骨折して、痛みが持続していることが分かりました。そのせいで食事や排せつの際に痛みが伴い、日常生活もままならない状態とのこと。食事の量も少なく、食欲が低下しているようでした。

 

会話はできるものの、いつものAさんと比較すると、ぼーっとした感じがあり、また、いつもの活気もありませんでした。糖尿病治療薬の中には、体調不良で食事がとれない場合には服用を控えないといけないものがあります。Aさんもその種の薬を服用していたため内服状況を確認すると、控えずに通常通り服用しているとのことでした。

 

そこで検査を追加したところ、ケトン体という物質が検出されました。ケトン体が体内に蓄積すると、吐き気や腹痛、意識障害などを引き起こし、昏睡状態に陥るなど生命に関わる危険性もあります。そのため、わたしは早急な治療が必要と判断し、すぐに医師に報告して、入院による治療が開始されました。

 

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