連載

2025.08

【第10回】ドイツで1型糖尿病になりました

ぼく、ママの病気のこと受け入れたよ

1型糖尿病になって2年ほどしたある日、息子(当時15歳)が「ぼく、ママの病気のこと受け入れたよ」と言いました。「ママが病気ってこと、受け入れたんだよ」と。息子が日本のおばあちゃんに電話をして「ママもいろいろ大変なんだよ」と話していました。それを聞いて、わたし自身がまだ受け入れられていないことに気付きました。

 

今はだいぶ受け入れられるようになってきましたが、それでも時々「どうして、おなかの肉をつまんでインスリン注射をしているのだろうか」と、はっとわれに返る時があります。われに返るという表現は当てはまらないかもしれませんが、本当に夢からぱっと覚めて現状を意識するという感じなのです。そういうときは「こういうものなのだ」と思い直してインスリンを打ち、打った後はまた忘れます。

 

そして少しでも軽い気待ちになれるように、うちでは糖尿病のことを「ディアちゃん」と呼んでいます。ドイツ語で糖尿病をディアベティスというからです。息子に「ディアちゃんチェックして」というと、スマホアプリで血糖値を見てくれます。「今日はちょっとディアちゃんの機嫌がわるいみたいだね」「ディアちゃん、まあまあだね」という会話をしています。インスリンや針など一式は「ディアちゃんセット」と呼んでいて

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