特別企画2

2024.07

膵移植の現状と課題

はじめに

 

重症糖尿病、特にインスリン分泌が枯渇した1型糖尿病に対する治療法として膵移植(膵臓移植、膵島移植)が実施されています。どのような患者さんが移植の適応となるか、手術の方法や合併症、治療成績はどうなのかなどの疑問をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。本稿では日本における膵臓移植、膵島移植の現状と課題について説明します。

 

 

膵臓移植、膵島移植の適応

 

膵臓移植、膵島移植とは、膵臓からのインスリン分泌が低下した糖尿病のある人に、インスリンを分泌するβ(ベータ)細胞を移植するものです。その方法として、腎移植や肝移植と同様に膵臓そのものを手術で移植する膵臓移植と、膵臓から膵島(ランゲルハンス島)を取り出して、点滴で肝臓内の門脈(肝臓につながる血管)に移植する膵島移植があります。

 

表に示す適応基準では、膵臓移植と膵島移植で若干違いますが、いずれも自分の膵臓からのインスリン分泌がほとんどないこと、医学的には血中の空腹時Cペプチド値が低いこと(膵臓移植では0・3ng/mL以下、膵島移植では0・2ng/mL未満)が必要ですので、通院している医

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