特別企画1

2024.08

糖尿病と末梢動脈疾患、下肢閉塞性動脈疾患

末梢動脈と足を栄養する血管「下肢動脈」

 

糖尿病と末梢(まっしょう)動脈疾患との関連についてお話しする前に、「さかえ」読者の皆さんに質問があります。「末梢動脈」とは、体のどの部分の血管を指しているでしょうか。その答えは、「心臓と脳内の動脈(冠動脈と頭蓋内動脈)以外のすべての動脈」が正解になります。厳密には、首の部分を走行する頸(けい)動脈や、腹部内臓の動脈なども末梢動脈の一部になります。そうなると非常に広範囲の血管にわたる話となるため、本稿では糖尿病のある人で特に発症頻度の高い末梢動脈疾患である、下肢閉塞性動脈疾患(足の血管病)について解説します。

 

図1をご覧ください。まず、足を栄養する血管である下肢動脈の走行と名称を説明します。下肢動脈は非常に長く、へその高さぐらいのおなかの中で腹部大動脈から左右の腸骨動脈に分岐します。そけい部で拍動が触れるような体表から浅いところを走行(総大腿動脈)し、そけい部で浅大腿動脈と深大腿動脈に分岐して太ももの筋肉の中を走行していきます。この領域では体表から拍動を触れることはできません。膝関節の高さを走行する動脈は膝窩動脈(しつかどうみゃく)と呼ばれ、膝の裏で拍動を触れることができます。

 

膝から下は主に前脛骨動

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