特別企画2

2024.11

減量・代謝改善手術(メタボリックサージェリー)

はじめに

 

肥満は、特に内臓脂肪の蓄積により、糖尿病、脂質異常症や高血圧などの肥満に関連した病気(肥満関連健康障害)の発症と増悪に関わります。わが国では医学的に体重減少(減量)が必要な肥満を、肥満症と定義しています。

 

現在、世界中で肥満人口が増加するとともに、肥満関連健康障害の重篤化、医療費の増大、さらにはオベシティスティグマ(肥満に関する社会的偏見、差別や自己スティグマ)なども問題となっています。

 

肥満症の治療は減量が目的ではなく、肥満を軽減させることにより、肥満関連健康障害の改善、生活の質の向上と健康寿命の延伸をめざすことにあります。しかし、高度肥満症の方に対する内科療法は一般的に困難であり、欧米では1950年代から減量を目的に肥満外科手術が行われてきました。最近、肥満外科手術は減量だけではなく、糖尿病などの代謝疾患が術後早期に改善することから、メタボリックサージェリーとして注目され、わが国では減量・代謝改善手術と訳されています(1)(2)(3)。

 

約100年前にインスリンが発見され、糖尿病治療の大きな転機となりましたが、減量・代謝改善手術の開発により、世界における糖尿病の治療戦略は大きな変換期を迎えています。

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