特別企画1

2025.03

糖尿病治療として再注目されるGIPとは?

はじめに

 

インスリンは血糖値を下げる唯一のホルモンです。インスリンの分泌を促進する消化管ホルモンとして、GLP−1とGIPがあります。GLP−1は糖尿病の治療のターゲットとして注目され、既に糖尿病や肥満の治療薬として使用されています。しかしGIPは幾つかの理由から、治療薬として注目されてきませんでした。本企画では、GIPについて詳しく解説します。

 

 

血糖値を維持するために重要なインクレチン

 

糖尿病の発症は、膵(すい)ランゲルハンス島β(ベータ)細胞からのインスリン分泌の低下が要因の一つです。加えて、インスリンの作用によって筋肉や脂肪の組織へ糖を取り込みますが、この力が低下すること(インスリン抵抗性)も要因とされています。糖尿病のない状態から糖尿病の予備群(耐糖能障害)、糖尿病の状態に進むにつれて、インスリンを分泌する力(インスリン分泌能)は低下し、インスリン抵抗性が大きくなります。欧米人に比較してインスリン分泌能が低い日本人では、加齢や生活習慣によって血糖値を低下させるためのインスリン必要量が体

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