特集2

2024.11

高齢者の内臓脂肪の蓄積と糖尿病

高齢者における糖尿病発症リスクの増加

 

わが国では高齢化が急速に進んでおり、65歳以上の人口は年々増加しています。これに伴い、糖尿病をはじめとする老年期に増加する疾患の発症率も上昇しています。糖尿病は、インスリンの作用不足による慢性の高血糖を特徴とし、特に高齢者においては発症リスクの増加が顕著です。これまで増加の原因については、インスリン分泌能(=インスリンを出す力)やインスリン感受性(=インスリンの効きやすさ)がわるくなるためなのか、そうであれば重要な規定因子は何かということは分かっていませんでした。

 

わたしたち順天堂大学では、東京都文京区在住の65歳以上85歳未満の高齢者1629人を対象に「Bunkyo Health Study(文京ヘルススタディー)」という観察研究を2015年から行っています。本稿ではこの研究結果を基に、65歳以上の高齢者におけるインスリン分泌能・インスリン感受性および内臓脂肪の蓄積が糖尿病の発症リスクに与える影響、またその予防策について詳しく解説します。皆さんの健康管理に役立てていただければ幸いです。

 

 

高齢者糖尿病の特徴─合併症や併存疾患

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