特集1

2025.07

運動療法の効果と実際の取り組み

はじめに

 

糖尿病と診断されたその日から、食事とともに運動への意識を高めて取り組んでいる方は多いと思います。運動を行うと血糖値の改善だけではなく、その他にもたくさんの効果が期待できます。最近では、運動(身体能力の向上や維持を目的として行われる、計画的で組織立った身体活動)と生活活動を含む身体活動が重要と言われています。本稿では、身体活動を増やすことも含めて運動療法とし、その効果を解説するとともに、わたしたち北里研究所病院で取り組む運動療法の実際も併せて紹介します。

 

 

運動療法の効果

 

運動療法には、①急性効果、②トレーニング効果、③エネルギー消費効果、④骨格筋量増加効果、⑤認知症予防効果、⑥心肺機能改善効果、⑦リフレッシュ効果、⑧がんの予防効果の大きく八つの効果があるとされています。

 

まず、①急性効果としては、血糖値の低下が挙げられます。運動(筋肉収縮)をすると、筋肉は自分が持つグリコーゲンや中性脂肪を消費しエネルギーにします。一方で、細胞の表面

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