連載

2025.09

【第3回】診療看護師が支える糖尿病管理の道しるべ

「薬はきちんと飲んでいる」はずが…

受診のたびに、過去2〜3カ月の血糖値の推移を表すヘモグロビンA1cの数値が徐々に上昇していくBさん。「薬はきちんと飲んでいます」と話をされ、内服薬の飲み方や薬の内容も理解しているようでした。しかし、血糖値は改善せず、薬の量は増えていきました。そして、ついに血糖値が安定しないために糖尿病の教育入院をすることになりました。

 

入院で判明した思いもよらない原因

 

入院後、Bさんの血糖値はみるみる改善され、内服薬の減量や中止なども検討されるほどでした。改善した血糖値を自宅でも維持できるように、血糖値が上昇した根本原因を見つけなければ、退院後には、また同じように血糖値が安定しない可能性があります。わたしはBさんの生活状況を詳しく把握するために、毎日Bさんの病室へ伺い、さまざまな話をしながら原因を探りました。長年の看護経験から、てっきり単純な内服薬の飲み忘れだろうと考えていましたが、血糖値が安定しない原因は、思いもよらないことでした。

 

内服薬の袋には「朝食後」や「夕食後」など、服用するタイミングが必ず表記されています。Bさんの血糖値が上昇したのは、この表記

関連記事