連載

2025.10

【第4回】診療看護師が支える糖尿病管理の道しるべ

糖尿病治療と豊かな人生の両立

手術のために入院されたAさん。ごあいさつのため病室に伺うと、何か言いたげで、複雑な表情をされていました。Aさんは糖尿病による食事療法を10年間、一生懸命続けてきたそうです。そのかいもあって、血糖マネジメントはとても良好でした。ですが、お話を聞いているうちに、「厳しすぎる食事制限で、好きなものを食べることができない生活がこれから一生続くのかと思うと、生きているのが嫌になってきた」と打ち明けてくれたのです。

 

過度な食事制限がもたらすもの

 

この10年間、Aさんは大好きな甘いものやお酒などをとらず、パンもライ麦パンのような低糖質のものを選ぶなど、徹底した食事制限で血糖マネジメントを優先してきました。そのため、とうとう疲弊して自分が何のために生きているのかを見失いかけていたようです。友達と出掛けても、旅行に行っても、「食べたらいけない」と考えてしまい、外出も楽しめなくなったと話をされました。

 

Aさんの入院中は、毎日Aさんの部屋を訪室して、生活習慣や好みを丁寧に伺いました。そして、無理のない範囲で取り入れられる食事の工夫や、散歩を習慣にすることを提案し

関連記事