肥満症の治療が急速に進歩しています。 新しい肥満症治療薬「ウゴービ®︎」は、 強い効果があるとして注目されています。 肥満症の薬物治療について、小川渉先生の解説です。

小川 渉

おがわ わたる

神戸大学大学院 医学研究科　 糖尿病・内分泌内科 教授

この記事の内容

はじめに

肥満はさまざまな病気を引き起こす原因となり、肥満を解消できれば多くの病気の改善や予防につながります。このような点から肥満の治療は大変重要ではあるものの、食事療法や運動療法では十分な効果が得られない場合も多く、有効な治療薬の開発が望まれていました。

最近、肥満症の治療薬の開発が急速に進んでおり、最新の臨床試験で15～20％以上の体重減少が報告されている薬剤もあります。２０２４年４月にはわが国でも30年ぶりに肥満症の新薬が発売され、その効果に大きな期待が集まっています。本稿では、肥満の成り立ちや「肥満」と「肥満症」はどう違うのか、などについてお話しするとともに、新しい肥満症治療薬ウゴービ^®を紹介します。

肥満と肥満症

肥満とは脂肪組織に過剰に脂肪がたまった状態であり、食事として摂取するエネルギーと身体活動などで消費するエネルギーのバランスの乱れによって生じます。

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