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2024.09

【第116回】新・相談コーナーせんせい教えてください!

新しい肥満症治療薬はどんな薬ですか?

質問

 

最近、新しい肥満症治療薬が出たと聞きましたが、どんな薬ですか?

(2型糖尿病歴20年 70歳女性)

 

 

回答

 

2024年2月に、GLP−1受容体作動薬・セマグルチド(商品名ウゴービR)が、肥満症治療薬として臨床応用され、わが国の肥満症治療は大きな転換期を迎えました。これまでわが国で肥満症治療薬として使用できた薬剤は、実質、1992年に承認された食欲抑制薬のマジンドール(サノレックス)のみでした。

 

マジンドールは食欲中枢に作用し、食欲を抑えるモノアミン(セロトニン、ノルアドレナリン、ドパミン)というホルモンの再取り込み阻害作用により、摂食抑制作用を示します。一定の効果は得られるものの、用法や用量に厳しい制限があったため、使用はかなり限定されていました。また、現在では米国、EU(欧州連合)で使用されておらず、世界的にみてもエビデンスや使用実績は限られていました。

 

実はGLP−1受容体作動薬・セマグルチドは、既に糖尿病治療薬として使用されています。経口投与が可能で、毎日服用する商品名リベルサスRという薬

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